スピリチュアルウォーカー
ハンク・ウェスルマン


まず、この著者であるハンクは、科学者であり人類学者であり、国際的な専門家チームの一員でもある人。
決して、シャーマン、精霊、チャネリング、ヒーリングといった類いのものとは、 まったく無縁の人だった・・という事に注目すべきだと思う。



彼は、何度も不思議な体験をしてしまい、それを、自身で、詳細に記録し続け考察していく。
彼は、ある日突然、ベッドの上で、意識変容状態を経験してしまう。
**意識変容状態とは・・眠っているわけではないのだが、体を動かすことは出来ず、意識はそのままで、あらゆるビジョンを見るような事。
これを何度も体験し、記録し続け、自分の状況を心理学的、病理学、あらゆる科学的見地にたって、 解明しようと試みるが、それでも明確な説明はつかない。

そのうち、ナイノアという青年のビジョンを、何度も見るようになる。
まるで原始時代のような生活をしている青年で、彼の使っている言語も場所も定かではない。
そして、あるときナイノアの世界は、おそらく現在より5000年先の未来であり、 私たちの世界が滅亡した後に生まれてきた世界だった・・という事実を認識してしまう。

現代人とはまったく違った人種であり、言葉も現代には存在しない言語でありながら、かすかに英語の名残のある言葉が出てきたり、 過去の遺跡として、私たち現代の物質の欠片があらわれたりする。
「古代にアメリカ人というのがいて進んだ文明を持っていたようだ。」というセリフも出てくる。

さらに、ナイノアの世界で起こることと現代のハンクの世界が、まるでパラレルワールドのように密接にかかわっていき、 かなり興味深く引き込まれていく。
ここで驚いたのは、 ナイノアの世界(未来)で、食べる為に狩りをし野生の馬を2頭だけ殺すシーンが出てくる場面で、 殺した馬の霊に感謝し、彼らは必ず祈りをささげるための宴をする。その後で無ければ決して獲物を食べない。
そうしなければ、馬も滅亡し自然生態を破壊し、自分たちもまた飢えて滅亡してしまう・・ という事実を彼らが知っているという事だった。

彼らは、真にスピリチュアルな精神のもとに生きているんだ・・という事に感心してしまった。
現代のこんな物質主義世界は起こるべくして滅亡してしまい、また、新たに生まれ変わるんだろうなあ。
もしも、こんなナイノアの世界として生まれ変わるんだったら、それも悪くないかも。。。
ふと、そんな事を考えてしまった。

さて、この著者のハンクは、科学者でありながらも、禅に興味を持ち、何度かサンフランシスコの禅寺に修行にいったり、 子供の頃から、東洋的なものに興味を抱いていた人のようだ。
また、ハワイ島のコナの内陸部に一時住んでいて、そこの大自然と古代から伝わる精霊が、彼に大きな影響を及ぼしたのかもしれない。

ハワイに伝わる精霊や民族的な内容も盛り込んであり、アカデミックに書かれていながら高いスピリチュアル性を持ち、 また、ナイノアの冒険物とシンクロしているし・・・とにかく、これは秀作だと思う。
とっても読み応えがあった。

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